環濠内遺構の主な建物跡―B
竪穴住居跡−B
丘陵の平坦部から斜面に移行する部分に位置する。長軸15,1m、短軸9,3mの規模を有し, 52軒の中で最も大型の竪穴住居跡である。
環濠として掘削し始め、後に放棄されたと考えるピット状の土坑を切って構築されている
床面東端のベンチ状施設との間には、他の床面に比較して、著しく硬い面が認められた。或いは住居の出入り口部に相当するのかもしれない。
長軸線上或いはその付近に大小6ヶ所の地床炉があり、うち一カ所は東側のベンチ上にある。
床面中央部には長軸約3,5m、短軸約2,0m、深さ20cmほどのやや大型の掘り込みがあり、地床炉の一つはこの掘り込みの底面に形成されている。
また住居構築時に排出された堀上げ土が北西斜面において確認されている。
上記 図面は深鉢形土器の体部上半で、口縁部の直径は、推定で30cmほどとなる。
底部から口縁部まで直線的に立ち上がる器形で、顕著な段状の体部を呈する。 これは幅の広い貼付帯を体部下半から積み上げ部分に沿って加え、L或いはRの一段の斜行縄文を施した後、次の(上位 ) 貼付帯を付加するという行程を経ており、その際に貼付帯の下端はつぶさず、上端をつぶして器壁になじませる方法を採っているためと考えられる。
縄文や胎土より同一個体の可能性が高い。6、5はは口縁部破片。 6は口唇断面が角形で、幅広の粘土帯が貼り付けられている。直下或いは粘土帯を含めて、断面四角形の工具により斜め下方から上方に深い刺突が施されている。このため内面に瘤状隆起を形成する。
体部及び口唇上面には、太いLR,RL2段の斜行縄文が施文される。
竪穴出土土器
竪穴出土石器
