環状土離―1号

  1号環状土離

 丘陵平坦部北東寄り、表土上より大きく落ち込んでおり、調査前からその存在は知られていた。

 周提部を含めた直径は約15mから17mを測る。北側に周提が途切れる入り口部がある。

 竪穴は上部より最大で60cmほど掘り込まれ、En−aのバスミ層に達している。堀上土を積み上げた周提の高さは最大で50cm、平均して3040である。

 又、竪穴の中央には直径5,6m、短径5,0mのやや縦長に掘り残した台状部がある。

 覆土は7層あり、黄褐色からなるV層は竪穴の堀上げ土を周囲に堆積した周提の最上層土である。

 墓抗は台状部の中央に1基のみ確認された。墓抗は掘り込み面では長径2,5m、短径0,9mのやや不整な長円形、下場は長径2,4m、短径0,7mの長円形のプランを呈する。長軸は東西方向にほぼ合致する。

 人骨は残っていなかったが、遺体の上に塗布された赤色顔料が人の形をとどめていたことのより、頭位方向は西であることが判明した。

 又、遺体の左側、抗底北よりの位置から弓が一張り検出された。漆塗りの長弓であり、長さは1,7mを測る。木質部は完全に消失、漆の膜のみが残っている状態であった。

 この弓は周囲の土壌と共にエポキシ系樹脂を使用して固め、取り上げることができた。

 竪穴には総計18基の小ピットが確認されている。西側を一部除き、台状部を取り込むように分布する。

 遺物は竪穴覆土及び周提上から多く出土している。