渡島半島と噴火湾

道南と噴火湾

   噴火湾って?
   火山に囲まれた海。道内有数の漁場でクジラも回遊

噴火湾は円形の大きな湾で、室蘭市など8市町村が面しています。内浦湾とも呼ばれていますが、駒ケ岳、有珠山などの多くの火山に囲まれているため、18世紀末の英国海軍探検船「プロヴィデンス号」船長、W.R.ブロートン中佐が名付けました。湾航海日誌「北太平洋探検航海記」の中でいきさつを書いています。
 天然の良港が多く、ヒラメ、毛がに、ウバガイ、ホタテの道内有数の産地になっています。春から秋に、数多くのイルカが湾内を回遊します。さらにミンククジラ、シャチ、オットセイの海洋性哺乳類と出会う確立が高い海域です。クジラやイルカをウオッチング出来る海としても知られています。

   内浦湾 うちうらわん 北海道南西部、渡島半島の東側にある湾。別称を胆振(いぶり)湾、旧称を噴火湾ともいう。江戸後期に、湾岸にある駒ヶ岳や有珠山の噴煙をのぞんだイギリス人船長ロバート・ブロートンが、噴火湾(volcano bay)とよんだといわれる。

  室蘭市 むろらんし 北海道南西部、太平洋に面した都市。市域は、内浦湾(噴火湾)につきだした絵鞆(えとも)半島とその対岸からなる。北海道最大の重化学工業の町。外海沿いは、100m前後の断崖絶壁が14kmもつづく。気候は海洋性で、年平均気温が高い。

  伊達市  だてし 北海道南西部、内浦湾(噴火湾)に面する田園都市。東は室蘭市と登別市に接し、北西に有珠山と昭和新山をのぞむ。気候は暖流の影響で比較的温暖。

  渡島半島 おしまはんとう 北海道南西部、西に日本海、東に内浦湾(噴火湾)をいだいて津軽海峡につきでた半島。地形的には東岸の長万部(おしゃまんべ)と西岸の寿都(すっつ)をむすぶ黒松内(くろまつない)低地帯以南をさし、地質学、生物学上は道央の石狩、勇払(ゆうふつ)低地帯以西をいう。南部は、函館湾をいだくかたちで西の松前半島と東の亀田半島にわかれる。

松前半島の大千軒岳(1072m)から北へ黒松内岳(740m)までつづく脊梁(せきりょう)山地は東北地方の延長部にあたり、古生層の基盤の上を緑色凝灰岩などの新第三紀層がおおう。北西部の狩場(かりば)山地は第三紀末〜第四紀更新世に噴出した狩場山(1520m)を主峰とする火山群からなり、山腹には千走(ちわせ)川などの浸食による深い峡谷がみられる。半島南東部につらなる駒ヶ岳、横津岳、恵山(えさん)の各火山が亀田半島の尾根を形成する。

道内ではもっとも温暖で、ブナ、トチノキなどの温帯林や竹林がみられ、石狩、勇払低地以東の北海道本体部とはことなる植物相をしめす。

本州からの回廊部にあたり、室町時代に東北地方から和人(本州系日本人)の移住がはじまっている。江戸時代には松前藩を中心に交易と開拓がすすめられ、日本海沿岸のニシン漁、亀田半島沿岸のコンブ漁が盛んになり、函館平野などでは稲作もはじまった。現在、農業は函館平野と後志利別(しりべしとしべつ)川流域での稲作のほか、火山性の台地や海岸段丘で畑作と酪農が盛ん。漁業は、ニシン漁の衰退後、津軽海峡でのイカ漁やコンブ漁、内浦湾沿岸でのホタテガイ養殖が中心となっている。

伊達市噴火湾文化研究所